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Dick Van Straalen 5'6 Quad Skate EPS/CARBONインプレッション

Dick Van Straalen 5'6 Quad Skate EPS/CARBON

モデル:Quad Skate EPS/CARBON仕様

サイズ:5'6 1/2x21x2 9/16

乗り手

年齢:43歳

身長:168cm

体重:61~64kg

※Quad Skate EPS/CARBONモデルをお勧めの人、キーワードなど

  • 波のコンディションが悪い日のサーフィンが多い
  • ショートボード主義者
  • 落ち着きがない性格 
  • 技をかける事に生きがいを持つ
  • パドル力が少なくても短い板に乗りたい
  • ある程度のアクションを事前にマスターしている

サーファーの気分は波のコンディションとサーフボードの調子に依存している。良いサーフボードは自分の意志で選ぶことが出来る。しかし海に行く日が限られる人は波のコンディションがいつも良いとは限らない。波情報やSNSが発達している現在、波が良い場所の情報は瞬時に共有され混雑が形成される。COVID-19後の新しい生活様式に従えば、波の良さよりも悪さ故の人の少ないサーフスポットを選ばなくてはならないかもしれない。しかし大抵のサーフボードは悪い波を主眼としての開発をされていないのである。

海沿いを拠点として生活している私も護岸工事などの影響で、年々悪化する波質に頭を悩ませてきた。確かに波が悪いと人が減るので快適なサーフィンを楽しむ事は出来る。しかし乗った波一本毎の満足感を図るとそれはまた別の問題である。とにかくパワーが無い、技をかけるセクションが無い、ブレイクが汚い、ショルダーがボコボコしている、ダンパーなど通常のサーフボードの開発で対象外とされている波を対象とするサーフボードのシェイプをDVSに依頼する事にした。

サーフィンの満足度は多岐に渡るのだが悪い波を対象にした場合、ショルダーが短い事が殆どである。なのでそこにクルーズ感やスピードを求めようにも初めから無理がある。悪い波で楽しむにはまず本数が乗れる事、次に自分が操作している満足感を出す為にアクションのかけやすさと収束までのスピードが必要になる。例えばリッピングの返しが遅い板でダンパーの波に仕掛けるのは危険極まりなく、怪我の原因になりかねない。

という事で依頼したボードがどのような仕様になったかというと

  • パドル力が許す限りの短い長さ
  • パドルが速く弱い波からも力を引き出す素材
  • 高いアクション性能

を併せ持つサーフボードが出来上がった。

 DVS Quad Skate EPS/CARBON

まず5'6という長さはほぼ私の身長と同じである。昔はミニボードが流行っていたり、私自身もそういうボードに乗っていた。しかし40代も半ばが見えてくる体にこの長さは中々の冒険と思えた。到着したボードを観察すると幅広なデザインではあるが、かなりveeがきついスクエアテールの厚みなどはそれほどではない。またボトムのカーボンはレールまで巻き込んであるのが確認され、かなりの反発力が期待できた。

カラーリングされたボトムのカーボンラミネートはかなりの存在感を漂わせる。それがジャンク波用のボードという事に対してはまったく不釣り合いなほどの美しさだ。ボードのフィン無しの重量は3.1kgと、EPSのみでシェイプされたボードに対しては100gほど重くなっている。果たしてこのボードがどのように機能するか、待望の?ジャンク波から予期しない良い波まで、様々なコンディションでテストしてみた。

 DVS Quad Skate EPS/CARBON

 

結論から述べると波質が悪化するほどこのボードの真価が発揮された。まずパドルは5'6という短さでもボトムのコンケーブと素材の軽さによりボードの短さを感じさせない。何よりデッキコンケーブとカーボンの反発力の為、パドルの姿勢を一定に保ちやすいのだ。テイクオフは他のDVSのモデル同様速く、ナローなノーズとボードの短さによりファーストターンを決めやすい。そこからはスクエアテールにより一気にショルダーを爆走~というイメージで見られそうだが、前述の通り短いショルダーをターゲットにしているだけあってスピード性能は長さなりである。しかしそこからジャンク波のショルダーをどのようなラインを通ってどうアプローチするか?という事に対し、このボード以上に得意なボードに出会った事はかつてない。

今まで一方的に嫌っていたジャンク波も実は奥深い。PUやEPSのボードならバンプがあってもいつもと同じようにショルダーを走り、パワーが無いだのスピードが付かないなど波に文句を抱いてライディングが終わる。しかしこのボードはカーボンの反発がジャンク波から最大限のパワーを引き出す。なのであまりに大きいバンプなどは反動が大きくてコケるのである。ではジャンク波ではどのようなラインを通れば良いのかと経験を積むと、自然とスピードがついたTop to Bottomの奇麗なラインになる。その際のアクションの切れ味は例えジャンク波であっても全く申し分ない。また、ショルダーを走りながらの一瞬の判断でのフローターやカットバックも得意とする所である。ボトムカーボンは、より弱い波や小さい波に対して威力を発揮する。胸肩サイズの良い波をあえて小さい板で攻めたいという方は、浮力少なめで乗る場合を除けば通常のPUやEPSでオーダーする方が良いかもしれない。

以上のようにかなり特殊なコンセプトで作られたボードである。同じDVSの小波対応ボードでもHydro Hullが浮力と揚力で進むモデルならば、こちらは波の上をカーボンの反発力で進むボードである。波のパワーに依存せずにアクションを行う事に特化しているボードの為動きも多少の癖がある。例えるならホイールベースを最大限に詰めて回転性を最大限に生かすラリーカーの様な作りである。テール幅が広い為アクション前に後ろ足を波側のレールサイドに移動させる技術も必要になってくる。しかしメインストリームではありえない、これくらい特殊にジャンク波にフォーカスしてあるボードであれば、通常の波を普通のサーフボードで楽しむのと同じ感覚でジャンク波に没頭できるのだ。このようにサーフィンの楽しみ方の幅広い受け皿があるのが、DVSの、ハンドシェイプの魅力であるとも言えるのである。


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