モデル:DVS Rocket Fishフルカーボン仕様
サイズ:5'10/5'9
乗り手
年齢:42歳
身長:168cm
体重:61~64kg
※Rocket Fishモデルをお勧めの人、キーワードなど
- ショートボード主義者
- ターンの切れ味を好む
- ナローノーズが好き
- 短めの板でも大きい/掘れた波に乗りたい
- 体重をかけたスラッシュ/カービングなどが好み
ある時はとても人気があったが、時代の流れとともに忘れ去られていく物がある。そういう物に限って10~20年程経過した頃に急に人気が出てくる事が多い。今の車の世界で言えば”ネオクラシック”と呼ばれる1980~90年代に人気があったモデルがそれである。そして誤解を恐れずに言えばロケットフィッシュというデザインやモデル自体がネオクラシックに当たるのではないかと思うのだ。
まずロケットフィッシュというデザイン自体についてだが、オリジナルのフィッシュデザインをスティーブ・ブロムとクライド・ビーティーJr達がターン性能などの為に改良した物である。1974年頃にはそのデザインがロケットフィッシュと呼ばれるようになって一般に広まっていった。ロケットフィッシュはマーク・リチャーズが1976年から開発したツインフィンと並行して使われていたが、やがてトライフィンの登場によりシーンから消えていったデザインである。その後2000年前後の第一次フィッシュリバイバルブームの際にロケットフィッシュも復活し、DVSなどのシェイパーによって作られていた。この写真のラスタはDVSのロケットフィッシュに乗っているが、こういう鋭いトラックこそがロケットフィッシュの本質を表している。
私はAvisoからリリースされていたDVSに乗った経験やフルカーボンのDVSロケットフィッシュを2本所有していたので、その経験からカーボン要素を除外して今回のインプレを書いてみる。
デザインの特徴はDVSの他のフィッシュよりもナローなノーズで現在のモデルで言うとTwin Finモデルに近い。ボードの幅はスタンダードなフィッシュに比べるとやや狭く、厚みは若干薄い。サイジングで言うと同程度の体重に対応するFishより2インチ程度長くなる感じだ。ボトムはノーズがコンベックス形状で、ボードセンターからテールに向かうにつれリバースvee~vee傾向になる。なのであまりボトムデザインで板を走らせるという風味はない。また当時のDVSに多いフルエッジ仕様なのでアクションの際の板の反応が良い。デッキにはDVSお馴染みのデッキコンケーブが施されているのでパドリングがかなり安定する。ロッカーはボードによってかなり差があり5'10はオーストラリア仕様とでも言うべく前後共に強く、5'9は明らかに日本からオーダーした物と思われる程テールロッカーが弱かった。
なのでこの二本のボードの乗り味を同列に語る事は出来ないが、共通しているのは波のパワーゾーンを生かしたポケットサーフィンの為のボードであるという事だ。私はサンディエゴフィッシュの流れを汲むハイパフォーマンスなフィッシュボードをいくつか乗っているので、フィッシュのパフォーマンス性をいくらかは理解しているつもりではある。そこでショートボードとフィッシュのパフォーマンス性を比較すると、ショートボードは基本的にはポケットサーフィンによるコンテストパフォーマンスの為にあり、フィッシュのパフォーマンスは波のポケットに限定されない。勿論ショートボードでもパワーゾーンを外れて波の前に出て加速しやすいボトムデザインもあるが、フィッシュのそれと比較するとどうしても性能的に落ちる。またフィッシュのターンやリッピングはショートボードと比較すると丸っこい感触があるが、ロケットフィッシュにはそれが無い。ボードの長さは通常のフィッシュ程短くは無く、ノーズもフィッシュと比較すると薄く細い。結果的に板を振り回した際のカウンターウェイトが少ないからだろう。
このボードの持ち味はナローなノーズと前後共に強いロッカーを生かして大きい波や掘れた波に乗ったり、レイトテイクオフでチューブを狙ったり、レールでドライブを利かせたボトムターンからのリッピングなどショートボードの持ち味にかなり近い。しかし同じ長さのショートボードよりもパドルが安定して速い。
ロケットフィッシュで大きな波に乗った際は通常のフィッシュよりも安定志向で急かされる感じが無く、落ち着いて波に対してアプローチが出来る。テールの横幅はあるが通常のフィッシュと違い後ろ足がセンターのままでもある程度はコントロール出来る。しかし後ろ足を左右に移動させた際のターンの切れ味は同じ長さのフィッシュ以上の物がある。ロッカーを下げた仕様では小波に対応する事は出来るが、走り重視ではないボトムデザインなのでHydro Hullの様な爆走性は無い。取り付けるフィンで多少乗り味を調整する事は出来るが、どちらかというと小波用ショートボードの様なライン取りやライディングになる。
私はこのモデルを中波用ボードとして最後までリストアップしていたが、前回のオーダーではツインピンフライヤーを選択した。しかし次はこのモデルをオーダーするつもりである。(ツインピンフライヤーの結果次第であるがEPS/CARBON仕様を考えている)それはサイズを長くしなくても大きな波に突っ込めるモデルであるし、このモデルでしか味わえないパフォーマンス性や乗り味があるからなのだ。