昨年アプローチをしてからとんとん拍子で話が進んだ
Jacquesberiau Custom Surfboards(旧Sea love surfboards)。
その中でカスタムオーダーを多数頂いた人気モデルが
このFishplacement hullである。
俗に言う”ハルフィッシュ”であるが
ハルとフィッシュが融合したとは一体どういう事なのか?
まずはボードデザインを読み取ってみる。
(ボードサイズ 7'0x22x3)
まずブランド自体の特徴だが
他のハル系ブランドに比べボードボリュームが少ない。
ノーズ周りのアウトラインと相まってショートボード的な印象だが
実際のパドルが遅いという事は無く
むしろナローなノーズや少ない厚みにより
ゲットでハマりにくかったりダックダイブも容易なメリットがある。
ラウンドノーズのハルは厚みがあろうが無かろうが
往々にしてゲットにハマりやすいので、これは朗報である。
ロッカーはハルの標準的な感じだが
テールに向けてのストレートラインが長いので
スピードが出る事を予感させる。
レールはかなり薄めだが丸みも残されており
ショルダーにレールを喰わせすぎて失速するという事は
あまり起きないと感じた。
これはツインフィン構造により
フィンがレールサイドにかなり近い事も影響している。
そのフィンはJacques本人がデザインした
ボランキールフレックスフィンが付いている。
見た目はかなり角度が寝ていたりグニャグニャしそうに見えるが
実際の所はボードに付けると意外にカッチリして特に違和感は無い。
ボトムについてはコンケーブなどは無く
ノーズからテールまでコンベックスのみで構成されている。
という事はこのボードはフィッシュのアウトラインを採用しても
核心部分はやはり”ハル”なのである。
では波の上ではいかなる機能を発揮するのか?
キーワードは”スピード”である。
通常のハルは速い波に対してポジションを同調出来るので
結果として速いと評される事が多いが、
このボードはさらに速くショルダーを一瞬で駆け抜けてしまう。
そのスピードはエッジボードなど他ジャンルと比較しても最速であり、
乗り手は振り落とされないよう重心を低くしたり
グラブレールで操作する事を要求される。
これについてはボードの長さに起因する事が大きく
Fishplacement hullの通常の長さは6フィート前半である。
その長さに留めればスピードと縦の動きを両立出来るが
極限までのスピードを求めるのであれば
このボードのように7フィート近くまでストレッチするのも手である。
とにかくこのスピードに乗るとカットバックの半径は巨大になり
ターン後にスピードに載せたままスープに当て込むと
とてつもない爽快感が生まれる。
波質的には極限まで掘れた波よりは
アウトからトロ目に来るがブレイクは速いような波が向いている。
ポイントブレイク系のハルでスピードを得られないような波でも
物凄いスピードでかっ飛んで行く事が約束される。
またショルダーは長ければ長い方が良く
いくらブレイクが速くてもレールを入れた状態でトップに行けば
抜けられない波はほぼ無いんじゃないかとさえ思わされる。
このモデルはハルのバリエーションの一つではあるが、
それだけに留まらない新たな魅力を持ち、
スピードに加えレール操作をミスしにくい構造があるので
ハルの入門者にもお勧めできるボードである。